Mamma Mia ~ Here we go
日曜日朝8:00から新宿バルト9で観てきました。客席はガラガラ。
1作目を観ていれば十分楽しめます。
若かりしドナを演じるリリー・ジェームズはチャーミングだし、ターニャとロージーもそっくり。特に若きロージー役のアレクサ・デイヴィーズはくりそつ!
最後のMy love,My lifeでメリル・ストリープが出てきてアマンダと絡むシーンは思わず涙が・・。
でも、ストーリーの組み立ては1作目が数段上。例えば、ドナがサムに告げる"The winer takes it all."の様な圧巻のシーンはない。残念。
それより、スカイは無職でこれから家族をどうやって喰わせていくんだ。仕事ほっぽり出して戻ってくるなよ~。ソフィも、前作でサムに見出された「絵」の才能を伸ばすべく島を出たんじゃないのぉー?(冒頭で前作最後の唄を歌うソフィは良かった、うん)。
サウンドトラックがamazon primeで聴き放題。早速スマホにDLしました。
現代思想の316冊
全23分野、316冊。あまりぱっとしなかった、1,400円もしたのに。で、哲学系レビュアー独特のクドくて自意識過剰で仲間内に語りかけるような文体にげんなり。
例えば、最初の「大陸哲学」。レビュアーは檜垣立哉というひとだけど、
何が大陸哲学なのかということには、一見すると論争の余地はない。・・・その意味するところは誰にとっても明確である。
あっそ。私にはさっぱり明確じゃないよ、大陸哲学。
で、次の「分析哲学」の加地大介というひと。
(私がブックガイドを書くというのは)もとより無理な話である。・・私には望むべくもない。・・・こんなのでも良いかと尋ねたところ、寛容にもお許しをいただけたので・・・
事前に予防網張りまくり。断れよ。
23分野のなかで最も面白かったのは人類学。春日春樹さんというひとは存じ上げないのだが、読んでみたいと思う書籍がいくつかあった。例えば、フィリップ・デスコラ『自然と文化を越えて』
- 作者: Philippe Descola,Janet Lloyd,Marshall Sahlins
- 出版社/メーカー: University of Chicago Press
- 発売日: 2013/06/01
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログを見る
『自然と文化を越えて』が与えた影響は大きい。自然・文化という大前提、人間が非人間に対して有する固有性と優越は、すべて近代西洋の構築物に過ぎない。
(Hatenaブログ購読中の)鈴木彰仁先生の著書も最後に紹介されているし、『負債論』を積極的に評価する姿勢にも好感。
「人間」ていう分野もあって、『理不尽な進化』で山形浩夫に褒められてた吉川浩満がレビュアーで、3ページぐらいの、あまり面白くない、書籍の羅列文。
「社会学」はぱっとしないし、「フェミニズム」は何故か評者が2名もいて、なんなのこの優勢感。「クィア・スタディーズ」は初めて聞いた分野。「政治学」「歴史学」には期待したのだけれど、そそられる書籍はなかった(あるいは既読)。
「宗教学」の島薗進では、この1冊が面白そうだった。
「建築論」にはクリストファー・アレグザンダーがなかったなぁ。
- 作者: クリストファーアレグザンダー,Christopher Alexander,中埜博
- 出版社/メーカー: 鹿島出版会
- 発売日: 2013/09/11
- メディア: 大型本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
「経済学」では若森みどりが説く
「劣化する新自由主義」論はとりわけ含蓄に富んでいる。
とのこと。
カール・ポランニーの経済学入門: ポスト新自由主義時代の思想 (平凡社新書)
- 作者: 若森みどり
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2015/08/13
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (7件) を見る
「統計学」は脚注までたっぷりあって、好きな人にはたまらないのかもしれない。「数学」は小島寛之先生。どうしても自著を薦めてしまうのがおちゃめ。
よくわからん映画だった
物語は淡々と進むのだが、???。
主人公の少年時代の虐待は何?理由は?母親のことは恨んでいないの?
女の子も、なんで目をつむって数字をカウントダウンしているの?
知事のいいなりで警察は人殺しをするの?
シチュエーションにも登場人物にもあまり感情移入できなかった。
監督のインタビューはこちら。
神道と仏教
外部研修で神保町に行ったので、帰りに三省堂書店に寄ったら古本市が8Fで開催されていました。
500円で売っていたので購入。
昭和23年の座談会「神道と仏教」が収録されていて、やり取りが面白いので少しご紹介。参加者は、臼田甚五郎、折口信夫、和歌森太郎、座田司氏、横山秀雄、小野祖教。
折口:インテリゲンチアを当てにして宗教はできないと思いますね。・・・いつでもインテリ以下のものに対象をおく必要があると思います。
大拙:インテリ以下ということは好かないな。インテリ以上といってよかろうな。宗教というと愚民相手のように考えるけれども、私はそうは思わん。愚民というものはインテリゲンチアよりも大いにいいところがある。
大拙:神道は元来、武の神様が多い。八幡様は第一そうだ。・・・鉄砲や原子爆弾も八幡様になるかもしれませんけれども、八幡様に行って「どうぞお助け」ということはない。キリスト教でいうような救われたいと思うような神様が日本にない、神道にそれがない。・・・日本の八百万の神様の中では、ゆるすということをする神があるかどうか、神様をけとばしても、そのけとばした者をゆるすという神様がいらっしゃるかどうか。
座田:八幡様は・・源氏の氏神とあがめさせられたのですが、まだその当時には武の神の性格というものはおもちになっておらなかった。・・もともと八幡様の性格といたしましては、どうしてもこれは海の漁の神様、農耕の神様であり、鍛冶の神様であるとあると考えております。
八幡様は不思議な神様。ここで、栗本先生に登場頂きましょう。
本書での主要論点は、神社本庁傘下の約8万の神社のうち、二位(伊勢信仰系、約4400)をはるかに引き離して数的な一位に立つのが八幡神社系7800であるということ、そしてこれが『古事記』にも『日本書紀』にも記載されない起源を持っていることだ。・・・また、八幡信仰は8世紀に突然登場して以来、応神天皇崇拝と習合していきなり高い格が与えられたりしたし、・・・八幡信仰は八幡神への信仰を柱とする一神教信仰の性格があった。これは他の神道に比べてある種欧米的というか特殊であるのだが、・・・島田氏は結論として八幡信仰は朝鮮半島由来の外来神ではないかと述べられる。これは驚くべき結論である。・・・評者は八幡信仰が仏教や天皇崇拝と習合していったから浸透したのではなくて、その前に民衆の精神に根付くものを持っていたからこそ逆に習合「された」のではないかと考えているが・・・
僕ら日本人は自分達のことが今ひとつよくわかっていない。
星を継ぐもの
- 作者: ジェイムズ・P・ホーガン,池央耿
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1980/05/23
- メディア: 文庫
- 購入: 207人 クリック: 2,160回
- この商品を含むブログ (481件) を見る
図書館で借りて、恥ずかしながら初めて読みましたよ、ええ、この傑作を。
@okemos_PESさんが#sfjpnタグで紹介していたこのブログに引用されているこのブログ「SF小説「星を継ぐもの」が紛れもない史上最高傑作である理由。【GW推薦図書】」がとても面白かったので、ご指示通り(?)GW推薦図書vol.2にしたのです。
『幼年期の終わり』を昨日初めて読み『星を継ぐもの』を今日初めて読んだという、なんて素敵で贅沢なGW(いや、おせーよ)。
栗本慎一郎とのリンケージという点では『幼年期の終わり』が面白いけれど、昨日のブログで書いた"生への執着を描く"という点では『星を継ぐもの』に軍配が上がる。いろいろな部分的事実から整合的な包括的全体像を紡いでいく発見のプロセスもマイケル的でgood。
仕事の傍らデビュー作としてこんなスゴい作品を書き上げてしまうホーガンには脱帽するばかり。
あらすじは・・・上記ブログやネットをググるといくらでも良い書評があるので割愛。
原題の"Inherit the stars"、心に染みるタイトルだなぁと思う。いくつかの星の生命の継承者としての人類。過去と未来を繋ぐ特別な存在としての人類。こういう感覚を思い切り相対化してくるアーサー・C・クラークって・・・。
本書はあの星野之宜がマンガ化しているようだ。amazonでポチっちゃおうかな。
で、次に読みたいと思っているSFはこれ。明日もまた図書館行こう。
- 作者: ロバート・A.ハインライン,牧眞司,Robert A. Heinlein,矢野徹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/03/15
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 94回
- この商品を含むブログ (49件) を見る
幼年期の終わり
図書館で借りて、恥ずかしながら初めて読みましたよ、ええ、この名作を。
@okemos_PESさんが#sfjpnタグで紹介していたこのブログがとても面白かったので、ご指示通り(?)GW推薦図書にしたのです。
- まず、65年も前に(1953年)本書を書き上げたクラークの想像力と直観には脱帽です。上帝(Over Lord)に上霊(Over Mind)とは。
- 人類全体が「未来の記憶=予感」を「過去の記憶」として共有するなんて話も、痺れるね。
- クラークの(科学的知識に裏打ちされた)想像力と直観の産物であるこの物語が半世紀以上人類に好まれ続けているという事実は、僕らのこの「予感」に何らかの根拠を与えてくれそうで少し恐い。「宇宙が人類のための場所ではないことを知っ」てしまいそうで。
- 直観とイマジネーションは、ある一つの層から次なる上位の層(=包括的全体あるいは意味)を生み出す主軸である(ということは、知と存在の主軸である)。が、それらはいったい"何かという問に答えるべき言語を既成の近代科学は有していない。" by 栗本慎一郎
- 暗黙知理論に基づけば、常に上位の層に向かうようこの直観/イマジネーションを出発させた何らかの力(場の中心の最初の力 by M.P.)があることは明らかで、上帝(Over Lord)ですら人類同様にこの力に基づいて研究を進めている。
- 栗本慎一郎はこの場の力をX(ラージエックス)、つまり仮の未知数としていったん置いて、思考を先に進めよと言う。Xが例えば一つの巨大で抑圧的な生命体で、人類はその生命体により暗い牢獄に閉じこめられていることがわかったとしても、そう確認されて初めて拓ける人格的なコミットメントがあり得る、というのが1988年の栗本だ。
- 『幼年期の終わり』に唯一不満があるとすれば、自分たちが上霊(Over Mind)あるいは宇宙にとって不要な種だと知らされた後の、人類の見苦しいまでの生への執着具合が一切記述されないところだ。もはや主体的ではあり得ない状況下で我々にはどんな主体的な選択肢があり得るのか。死を選んで終わりにするとはとても思えない。次世代の種との交配実験や人(?)体解剖、上帝(Over Lord)にだけ感染するウイルス製造などなど、生き残りを賭けたMadな展開こそ人類の本領発揮ではないだろうか。
女は二度決断する
観てきました。ヒューマントラストシネマ有楽町。朝9:20の回でしたが、200席のシアターが3分の2ぐらい埋まっていました。
ファティ・アキン監督のインタビューはサイゾーのこちらをどうぞ。
全体は3幕で構成されている。テロで夫と息子を失う第1幕。容疑者およびその弁護士と法廷で争い判決が出る第2幕。で、邦題の通り二度決断(!?)する第3幕。
主演女優ダイアン・クルーガーの一人芝居のような映画でしたが、素晴らしい演技で2時間があっという間でした。ドイツ語原題の「Aus dem Nichts(どこからともなく)」を「女は二度決断する」としたのは配給会社の苦労の跡で、「どこからともなく」じゃ観客も集まらないだろうなぁ。
ネットをググると映画のラストは賛否両論。私は少し不満。無差別テロという理不尽で始まる映画なのだから、最後も理不尽に終わって欲しかった。例えばだけれど第3幕途中で彼女は買い物に行くのだが、クルマに戻ると夫と息子の命を奪ったものと同じ爆弾で爆発する、とか。で、第2幕の法廷で検視官が息子の遺体の状況を証言したのと同様のひどい有様の彼女の遺体が映し出されてend(実際、この買い物のシーンは長回しで何か起きそうな緊張感漂う場面だった)、みたいな。
ヒューマントラストシネマ有楽町の上映作品は相変わらず渋い作品ばかりで、公開中の残り2作品も面白そう。年会費1,000円の会員になると-500円で観ることができて、2本見れば元が取れるお得な優待サービス。受付が混んでいて今日は諦めたけど、平日夜に行って会員申込をする予定。