暗黙の焦点 別宅。

Michael Polanyiに捧げる研鑽の日々。

現代思想の316冊

 

現代思想 2018年4月号 特集=現代思想の316冊 ―ブックガイド2018―
 

 全23分野、316冊。あまりぱっとしなかった、1,400円もしたのに。で、哲学系レビュアー独特のクドくて自意識過剰で仲間内に語りかけるような文体にげんなり。

例えば、最初の「大陸哲学」。レビュアーは檜垣立哉というひとだけど、

何が大陸哲学なのかということには、一見すると論争の余地はない。・・・その意味するところは誰にとっても明確である。

あっそ。私にはさっぱり明確じゃないよ、大陸哲学。

で、次の「分析哲学」の加地大介というひと。

(私がブックガイドを書くというのは)もとより無理な話である。・・私には望むべくもない。・・・こんなのでも良いかと尋ねたところ、寛容にもお許しをいただけたので・・・

事前に予防網張りまくり。断れよ。

23分野のなかで最も面白かったのは人類学。春日春樹さんというひとは存じ上げないのだが、読んでみたいと思う書籍がいくつかあった。例えば、フィリップ・デスコラ『自然と文化を越えて』 

Beyond Nature and Culture

Beyond Nature and Culture

  • 作者: Philippe Descola,Janet Lloyd,Marshall Sahlins
  • 出版社/メーカー: University of Chicago Press
  • 発売日: 2013/06/01
  • メディア: ペーパーバック
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『自然と文化を越えて』が与えた影響は大きい。自然・文化という大前提、人間が非人間に対して有する固有性と優越は、すべて近代西洋の構築物に過ぎない。

(Hatenaブログ購読中の)鈴木彰仁先生の著書も最後に紹介されているし、『負債論』を積極的に評価する姿勢にも好感。

負債論 貨幣と暴力の5000年

負債論 貨幣と暴力の5000年

 

 「人間」ていう分野もあって、『理不尽な進化』で山形浩夫に褒められてた吉川浩満がレビュアーで、3ページぐらいの、あまり面白くない、書籍の羅列文。

社会学」はぱっとしないし、「フェミニズム」は何故か評者が2名もいて、なんなのこの優勢感。「クィア・スタディーズ」は初めて聞いた分野。「政治学」「歴史学」には期待したのだけれど、そそられる書籍はなかった(あるいは既読)。

「宗教学」の島薗進では、この1冊が面白そうだった。 

日本神道史

日本神道史

 

律令制形成期の神道の理解に軸を置いた本書は独自の位置をもっている。

「建築論」にはクリストファー・アレグザンダーがなかったなぁ。 

生命の現象

生命の現象

 

 「経済学」では若森みどりが説く

「劣化する新自由主義」論はとりわけ含蓄に富んでいる。

とのこと。 

 「統計学」は脚注までたっぷりあって、好きな人にはたまらないのかもしれない。「数学」は小島寛之先生。どうしても自著を薦めてしまうのがおちゃめ。