暗黙の焦点 別宅。

Michael Polanyiに捧げる研鑽の日々。

翻訳家≠作家

坂口安吾 百歳の異端児

坂口安吾 百歳の異端児

著者の出口さんはシオランの紹介者として有名。学生時代には感銘して何度も読んだものだ。

生誕の災厄

生誕の災厄

その出口さんが安吾について語る、それも、帯によれば

生涯をかけて読み込んできた著者が、その魅力も弱みも大胆に語り尽くす!

とかなりの意気込み。期待してページをめくっていったのだが・・・プロローグだけで十分。あとの本文を読んでも、安吾の魅力について僕に訴えかけるものは何もない。伝えたいことが特段無いんじゃなかろうか。随所に引用されている安吾の文章に挟まれて、どちらかというと彼の文章が邪魔。(笑)

wikipediaによれば小説家志望で何度か作品を発表しているようだけど、翻訳家として以上に世間に認められる成果ではなさげ。

生誕100年を記念した新潮社のビジネス上の期待に沿って、取りあえず何事か書いてみました、というだけの本。
★。


それよりも、筑摩書房から柄谷行人編集で完全出版年月日毎の全集が出ているようだ。古書店でぜひ一括購入したい!

坂口安吾全集〈01〉

坂口安吾全集〈01〉