暗黙の焦点 別宅。

Michael Polanyiに捧げる研鑽の日々。

聖諦

バスジャック

バスジャック

「となり町戦争」でデビューした三崎亜記の新作短編集。
表題の「バスジャック」と「しあわせな光」「二人の記憶」「二階扉」を読了。

書店がいろいろほめてます(参照)。彼の作品の特徴は作者インタビュー(参照)の次の部分に尽きる。

私の小説の主人公は、不条理な状況をまず受け入れるんですよ。受け入れたうえで、悩みつつ、その現実をきちんと受け止めていこうとする。それは目の前の人間を深く受け入れようとしているのかもしれないし、逆に、そこまで深く考えないで、とりあえず、目の前にいるから受け止めちまえっていうところもあるかもしれない。(略)じゃあ、そこからどうなるんだろう、というところを書いてみたいですね

日常生活にふと姿を現すブラックボックス。なぜそこにあるのか。わからない。内部でどんな動きをしているのか。わからない。その「箱」に触れると、一定のルールに基づいて(いるように見える)何らかの反応を返してくる。自分のインプットがあるアウトプットを恒常的に引き出す・・・。「箱」が一体何なのか、とりあえずどうでもいい。そこにこだわると、何も進まないし何も見えない。未知の「X」として仮置して、一緒に先へ踏み出そう。僕らはここに立ち止まっていられる訳ではないのだから。

残り3篇。