読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

暗黙の焦点 別宅。

Michael Polanyiに捧げる研鑽の日々。

amazonの注文履歴から振り返る2013年に読んだ本

読書

まず1月に購入したのは、リスク学の中西準子が2012/11に出した福島原発本だった

リスクと向きあう 福島原発事故以後

リスクと向きあう 福島原発事故以後

 

 続いてウィトゲンシュタイン本やファインマンを読んだ後に、栗本先生がラジオで共演して何かと頼りにしてそうな川嶋朗の本を買って読んだら、つまらなかった。 

心もからだも「冷え」が万病のもと (集英社新書 378I)

心もからだも「冷え」が万病のもと (集英社新書 378I)

 

 小学館プロダクションが翻訳を頑張っているアメコミやバンドデシネから、2月に買ったのが『V フォー・ヴェンデッタ』で、これはまあまぁ。 

V フォー・ヴェンデッタ (SHOPRO WORLD COMICS)

V フォー・ヴェンデッタ (SHOPRO WORLD COMICS)

 

そうそう、最終弁当翁の初めての著作も読んだな。

マイケルがThe Study of Manで褒めていたヴィンデルバント岩波文庫で買って読んだら、物理化学的な下層の素材は無時間的で法則定立的で、原子や分子に個性はないが、上位の層になればなるほど個性記述的で一回性が強化されると言う指摘は、とても面白かった。 

池田清彦の「エピジェネティカルな形態形成プロセスの変化」という指摘、外胚葉発生プロセスの変化がヒトを産み出したという指摘に痺れて、専門入門書を読んでこの指摘は正しいとの思いを強くもした。 

エピジェネティクス 操られる遺伝子

エピジェネティクス 操られる遺伝子

 

学生時代に栗本先生が褒めていた潜入ノンフィクション本を思い出して改めて読み、息子の命よりも大事な価値というものがあるのか、と考えさせられたのも今年の話。 

説得―エホバの証人と輸血拒否事件

説得―エホバの証人と輸血拒否事件

 

マイケルのCommitmentを、ハイデガーのEntwurfやホワイトヘッドのprehensionといった用語と比較するのに、西洋哲学史はとても簡便で役立つものだった。一家に一冊あると便利。 

概説 西洋哲学史

概説 西洋哲学史

 

 楽典の基礎を知りたいなと思って買った本は積読のまま、栗本慎一郎JKUの会報をヤフオクでGetし、そこで大和雅之先生が推奨していた本を3冊買って読んだ。うち1冊は廣松渉だったが、一番印象的だったのはケーラーのゲシュタルト心理学。 これは必読。 

ゲシタルト心理学入門 (UP選書 76)

ゲシタルト心理学入門 (UP選書 76)

 

 マイケルがいう「原理」をもっと理解したいと思って、機械の原理=工学本を読んでいるうちに、栗本先生の『全世界史』が発売された。参考文献などを示してくれないので理解に苦慮し、古田武彦の『真実の東北王朝』や大山誠一の聖徳太子本、久慈力の蘇我氏メソポタミア本や加藤九祚中央アジア・ユーラシア関連本を読み継いだ。カタリ派弾圧の十字軍にも関心を持ち小説を読んだ(『聖灰の暗号』)。地球儀も買ってしまった。笑

 

最終講義と併せて、明治大学で開かれた「最後の授業」の動画も完全保存版。 

栗本慎一郎最終講義―歴史学は生命論である (有明双書)

栗本慎一郎最終講義―歴史学は生命論である (有明双書)

 

 経済人類学が講談社学術文庫におちたのも今年の出来事。山口昌男は鬼籍に入り、ユリイカで特集が組まれた。 

 Polanyi Societyの設立メンバーに「ダグラス・アダムス」という人物がいて、あぁこれは銀河ヒッチハイクガイドの「あの」イギリス人ダグラス・アダムスだろうと早合点してシリーズ全5巻を文庫本で買ってみたら実は別人だったという、笑ってしまう思い出も作った。 

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

 

 故郷いわきの炭鉱発見者 片寄平蔵を描いた『燃えたぎる石』は、是非ともお勧めしたい熱い物語だ。

燃えたぎる石 (角川文庫)

燃えたぎる石 (角川文庫)

 

 そうそう、今年忘れてはならないのが、渡辺京二本の出版ラッシュ、というかバブル。いくら何でも出し過ぎ。一過性のブームにして欲しくないのに。三苫先生も書評に書いていたけれど、カール・ポランニーを引いて面白かったのが『日本近世の起源』。私は、『なぜ今人類史か』か、石牟礼道子を描いた『もうひとつのこの世』を押したい。  

もうひとつのこの世《石牟礼道子の宇宙》

もうひとつのこの世《石牟礼道子の宇宙》

 

 宇宙物理学の須藤と科学哲学の伊勢田ががっぷり組んだ『科学を語るとはどういうことか』も今年の必読本。須藤の圧勝なのだが、生物学目線で見ると伊勢田に一理ありという意見もある。 

 マイケルの神学的含意ときちんと考える時期だなという思いも強く、マイケルを引用しまくりのNewbigin本を斜め読み。   

Proper Confidence: Faith, Doubt, and Certainty in Christian Discipleship

Proper Confidence: Faith, Doubt, and Certainty in Christian Discipleship

 

 併せて、フッサール現象学本をいくつか読んでいくと、斎藤慶典が素晴らしい手際でフッサールの問題設定を描いていた。講談社選書メチエは『マイケル・ポランニー 自由の哲学』も出していて面白い。本書を読み進めると、マイケルの問題意識はフッサールと重なるのが明確に判る。フッサールを理解することでマイケルがもっと理解できる。これもお勧め。 

フッサール 起源への哲学 (講談社選書メチエ)

フッサール 起源への哲学 (講談社選書メチエ)

 

 ================

結局、2013年は栗本Yearだったというのが私の今年の読書の結論。学長を辞めた先生の、次の展開に期待したい。