暗黙の焦点 別宅。

Michael Polanyiに捧げる研鑽の日々。

ジェネリック薬に関するメモ

最近TVCMでよく目にするジェネリック薬品。「薬が安くなる」というアピールだけが記憶に残る。これはなんだろうとちょい調べてみると、なかなか奥が深く、厄介な問題に行き着く。

http://www.aseed.org/trade/medical.htm
http://csc.tsukuba.ac.jp/gg_adachi_050704.pdf

  • 多くの製薬会社は開発した薬品の製法に対して特許を保有
  • ジェネリック薬とは、特許の期限が切れた場合に製薬会社に対して特許料を支払うことなく、しかし、模倣品ではない、全く同じ効能を持った製品として生産され、安価で販売することの出来る、非ブランド薬
  • インドなどは国内特許法と米国などの特許法との違いを利用し、特許有効期間内でもジェネリック薬品を製造販売することで、そのマーケットを大きく開拓してきた
  • 1990年代から世界的に流行したエイズの症状を抑える薬は非常に高価で、途上国の貧しい人々の手には届かなかった
  • 途上国政府が薬を自国で製造して(ジェネリック薬)安価に提供しようとしても、製薬会社の特許がハードルとなり、不可能(特許有効期間+使用許諾+特許料)だった
  • 知的所有権保護を国際的に推進している枠組みがWTOの「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPs協定)」
  • 途上国のフラストレーション+WHO+医療NGO+便乗する国による反TRIPs連合結成

 ⇒ 「医薬品アクセスの問題」

国家レベルでは途上国vs先進国、ビジネスレベルではジェネリック製薬会社vs大手製薬会社という対立構造の中で、結局は、
 TRIPsによる知的財産保護は最優先されるが、公衆衛生保護のために必要と判断される場合においてはTRIPsによって医薬品アクセスを妨げない
という形で決着。

しかし相変わらずこんな問題も。
http://www.msf.or.jp/access/a_news.php?id=2006042802