暗黙の焦点 別宅。

Michael Polanyiに捧げる研鑽の日々。

クリモト

七分間

若きヒロインの性を赤裸に描き、長らく発禁となっていた『七分間』が、遂にアメリカで出版された。が、その直後に一書店主が猥褻文書販売の廉で逮捕され、さらには、折から婦女暴行事件を起こした若者が、犯行は『七分間』に刺激されたものと自供する。あく…

有用性と欲望のエコノミー

国立人文研究所主催のKUNILABO2016年度4月期講座『エコノミーとは何か:概念から学ぶ哲学史』全4回(4/5/6/7月,月一回)が終了した。講師は佐々木雄大先生。 researchmap.jp 玉川大学/亜細亜大学の非常勤講師だ。実は以前からTwitterで「エコノミーの概念史」…

Polanyi前夜(これはFictionです)

栗本先生は、学究生活の初めから「歴史」に強い関心を持っていて、最後に世界史に還っていったんだな、という話*1 --------------- 慶應義塾大学の学部時代、栗本先生は文学研究会と理論経済学研究会に参加していたが、2年の後半から自治会の方が忙しくなっ…

沈黙交易 1979-2013

著者がアイヌ関連の精力的な研究者で有り本書が刊行されたことも知っていたが、先週新宿の紀伊國屋書店で偶然見つけてページを繰ると、「栗本」「ポランニー」が頻出している。購入し読んだ。栗本経済人類学に関心のある方にはお薦めしたい。 アイヌの沈黙交…

祝!師弟共演

毎週日曜日21:00のラジオ番組「栗本慎一郎の社会と健康を語る」にて、2週連続で大和雅之さんをゲストに迎え、 再生医療からみた、人間とは(生命とは)何か というテーマで話が進められた。大和さんは現在、東京女子医科大で再生医療の研究を進めている。Twi…

33年という時(とき)

幻想としての経済 (1980年)作者: 栗本慎一郎出版社/メーカー: 青土社発売日: 1980/12メディア: ? クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 1980年のあとがき 人が物を書いたり、本を出したりするのはいったいなぜなのだろう。それは、自分の書いたも…

1988年 年末 -説得-

説得―エホバの証人と輸血拒否事件作者: 大泉実成出版社/メーカー: 現代書館発売日: 1988/11メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 97回この商品を含むブログ (6件) を見る 第11回講談社ノンフィクション賞受賞作。 出版は1988年11月。このころ私は、明治大学…

ホモ・サピエンス

パンツを脱いだサル―ヒトは、どうして生きていくのか作者: 栗本慎一郎出版社/メーカー: 現代書館発売日: 2005/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (24件) を見る 本書で栗本先生は人類の起源の説明としてエレイン・モーガンの…

「冷え」がなんだって?

栗本先生がラジオ「栗本慎一郎の社会と芸術を語る」でゲストに呼んでいた、青山自然医療研究所の川嶋朗(あきら)の本を早速amazonで取り寄せて読んでみた。 心もからだも「冷え」が万病のもと (集英社新書 378I)作者: 川嶋朗出版社/メーカー: 集英社発売日:…

「新しい世界史の教科書」(仮) あとがき

長沼さんが先生の新著のあとがき(の一部)を先行紹介してくれている。 http://d.hatena.ne.jp/thunder-r-labo2/20130206/1360134029?_ts=1360161869 過去の本のあちこちでちりばめた地球史についての指摘は、読者が過去に優等生であればあったほど混乱を与…

ドゴン。シリウス。

BRUTUS 1983年4月1日号 「黄金のアフリカ」 特別定価450円 p.83 黒アフリカから宇宙へ。<文:栗本慎一郎> <はずれドゴン> 黒アフリカは、宇宙につながっている。切り立った断崖に住む20万人のドゴン族は、長い年月のあいだ、近隣の諸部族がイスラム化し…

生命の共振

月刊アーガマ 1990.5 生命の共振 なぜ、いま人々は立ち上がったのか? 栗本慎一郎 ----- (トランシルバニアの血の歴史、東欧の激変、ルーマニア・チャウシェスク政権崩壊の話題・・・) チャウシェスクがひどいやつで、トランシルバニアの人たちは十何年前…

岸田秀 評

現代思想 号数不明 岸田秀 明晰にして難解な思想家 栗本慎一郎 ----- 岸田秀がフロイトを凌いでいるのは、擬物論的、実体論的な物理的因果論で神経症を説明しないところにあるのである。ジュウ(ユダヤ)の理論はシュウによってその濁りを取られたわけだ。 …

人種

現代思想 1988.12 特集=人種 人種と禁忌 栗本慎一郎 ----- 人種は見事に仕組まれた罠だろう。環境と遺伝子の関係が、即物的に対応するものではなく、かつ遺伝子の発現の側に逆転写という「主体」としての外部が係わり得ることが示されたなら、また病いと歴…

交換と供犠

http://sskyt.tumblr.com/post/20598834719 サーリンズがモースを批判していて、ゴドリエがさらに両者を批判している、と。 興味深いのだが、一方でサーリンズやゴドリエは象徴や無意識の問題に踏み込めない。 トータルで根源的な点でやはりモースの勝ち、と…

20年以上前の議論整理

(1)ヒトの身体は人類史的にも歴史的にも流動的で相対的。身体感覚は変化しているし、場合によっては形態や器質的な変化さえある。(『幻想としての経済』) (2)身体の変化は歴史変化の主体である。社会構造とか思想とか宗教などが主体じゃない(『パン…

届いたのだ。

経済人類学の眼 (1982年)作者: 栗本慎一郎出版社/メーカー: 青土社発売日: 1982/05メディア: ?この商品を含むブログを見る あとがきより。 記号表現(シニフィアン)と記号内容(シニフィエ)の分立を指摘する記号論の意味は、言語がそれ自体限定的であるが…

学会論文

栗本先生の最初期の学会論文は下記になります。社會經濟史學:35巻4号 1969-12-20 http://ci.nii.ac.jp/els/cinii_20100920121639.pdf?id=ART0001551617&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1284952599&cp= 一八六〇年代末イギ…

真面目に法理論

1983年に全3巻で東京大学出版会から出された『現代法哲学』というシリーズがある。第1巻「法理論」第2巻「法思想」第3巻「実定法の基礎理論」。編者は京都大学を代表する法学者の田中成明と、東京大学を代表する法学者の長尾龍一。 各巻に当時の若手研究者に…